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コクシネル COCKC'NELL <LIVE IN TOKYO 2004> 出演: 野方攝 vocal, guitar
企画/制作/問い合わせ:キャロサンプ 日本のパンク/ニュー・ウェイヴのムーヴメントにはやや乗り遅れた感のあるリスナーであった私にとっても、'80年代は特別な時代であったと言えるだろう。とりわけコクシネルと出会ったということにおいて、その重要性はひとしおである。 コクシネルは元・めんたんぴんのギタリスト:池田洋一郎と、バンド経験はこれが初めてというヴォーカルの野方攝、そして工藤冬里と今井次郎の4人をメンバーに、吉祥寺にあったマイナーという店で'80年に産声を上げた。池田と野方の二人以外はライヴの度にメンバーが流動的に入れ替わり、初期の頃は決まった歌詞とメロディのある野方の歌を軸に、毎回フリーキーでノイジーなインプロヴィゼーションを繰り広げていたらしいが、前述の4曲入りライヴ盤('81年4月収録)の頃には独自の端整なスタイルをすでに確立していた。金沢に拠点を移した後の'87年に発表された唯一のアルバム『少年の木』では、サンプリングやリズム・プログラミング、MIDIピアノ等の当時まだ目新しかったテクノロジーを導入して、入念なスタジオ・ワークとかねてよりの即興的テイストとのマリアージュに成功しており、ライヴには若手のミュージシャンも積極的に起用する等、時代の変遷とともに変化をしながらもコクシネルは、ロック・バンドとして独自の世界を'80年代を通して常に提示し続けてきた。 '02年の2月に『ロック画報』の依頼で金沢に赴き池田と野方の二人にインタヴューをする機会があり、コクシネル結成当初から現在に至るまでの詳しい話を聞くことができた。そして、人前に立つ機会こそ極端に減ったもののコクシネルはずっと活動を継続していることを知った。その2ヶ月後に東京で観た数年ぶりのライヴでは、池田と野方はラップ・トップの前に座り、アメリカ人VJをフューチャーし、バンド演奏とは趣をまったく異にするコンピューター・テクノロジーを駆使したステージを披露した。それはライヴ演奏における技術的な方法論やサウンド面でこそ換骨奪胎されていたが、やはりコクシネルとしか呼びようのない独特のロック的グルーヴをしっかりと根底に感じさせ、野方攝の歌もその切れ味を少しも失ってはいなかった。 今回の企画は20年以上の活動歴を持つコクシネルにとって初のワンマン・コンサートであり、古くからの縁りのミュージシャンをゲストに招いて、近年のコンピューターによるベーシックと旧来のバンド形態による演奏の融合を本格的に試みる。常にプロトタイプたらんとする意志に貫かれ自己変革を繰り返してきたコクシネルが、二十数年前に最初の一音を発したマイナーの跡地からほど近い場所で、その歴史の変遷を俯瞰しながらまた新たな形態を獲得するだろう瞬間を目撃することは、昔からのファンにとっても当時を知らない新しいリスナーにとっても、とても素敵で重要な出来事になるだろう。 |